市山新氏

第11回学術奨励賞授賞選考委員会委員長講評






    選考委員会委員長      市山  新

第11回(平成17年度)浜松医科大学同総会学術奨励賞の選考経過を報告します。今年の選考委員会委員は、浦野哲盟教授(生理学第二、同総会副会長、奨励賞担当)。梅村和夫教授(薬理学、同窓会長)、北川雅敏教授(生化学第一)、鈴木昌八助教授(外科学第二)、山本清二助教授(光量子医学研究センター)に私を加えた計6名で、本年の5月9日(火)に選考委員会を開催した。

今回は応募件数が5件で、その中に既に一度この学術奨励賞を受賞された人の再応募が含まれていた。したがって、今年度の選考委員会では、この再応募をどう取り扱うかと関連して、まず同総会学術奨励賞の位置づけ、将来像等について根本的な議論を行うことになった。

この2回目の応募論文は勿論前回の受賞論文とは別の、本年3月にトップジャーナルの一つに掲載された大変立派な論文であった。しかし、選考委員会では、議論の末、奨励賞という性格上この賞の受賞は一回に限らせていただくことにした。そして、将来的には、奨励賞受賞後更に立派な仕事をした人を対象として同窓会賞を立ち上げたいということになった。2回目の奨励賞を差し上げることのできなかった今回の再応募者を含めて、多くの本学同総会員が奨励賞受賞後も活発な研究活動を行い、競って同窓会賞に挑戦するという時代が来ることを期待したいものです。

次いで、残りの4つの論文から2件採択を目途に選考会議に入った。例年どおり、各選考委員がすべての応募論文に目を通しておき、委員会の席上では予め指名を受けた審査員が担当論文の内容、独創性、医学への貢献度などを説明し、個々に質疑応答を行った後、総合討論に入った。そして佐原直日氏の論分「CD56陰性及び陽性多発性骨髄腫細胞における PI3-K/Akt pathway を介した interleukin-6 および insulin-like growth factor I の役割」を、実験がしっかりしており、また彼の他の発表論文を合わせると多発性骨髄腫を基礎から臨床まで total に見ているという理由で高く評価し、全員一致で平成17年度同総会奨励賞受賞論文とした。しかし、残りの1編の選考が難航した。

いずれも「よくやっている」と感じる優れた論文であったが、他を凌駕する決め手に欠けているという印象があった。いろんな角度から議論した後、そもそも同総会奨励賞の選考にあたってどのような観点を重視すべきかにまで議論が発展した。これまでも、同窓会誌の「同総会学術奨励賞選考経過」の中でお知らせしてきたように、選考委員はこれまでの経過・流れ、今後の継続性、発展性、実験の詰めが充分か否か等を議論し、研究の general interest も重要視してきた。今回の議論でも、実験の詰めの重要性が再確認され、また応募論文から、あるいは少なくとも応募者の publication 全体から当該研究の発展性が感じられることが大切とされた。

以上の議論の後に投票を行い、平成17年度同総会学術奨励賞は佐原直日氏お一人に差し上げることになった。この結論と関連して、同じ論文で2回奨励賞をもらうことは勿論できないけれど、採択されるまでは同じ論文を使って複数回応募してはいけないという決まりはないので、今回選外になった方も気を落とさないで研究を更に発展させ、再度挑戦してもらいたいものという意見があった。