第7回 浜松医科大学 同窓会 学術奨励賞 受賞者に伺いました


海野直樹氏

海 野 直 樹 氏

Naoki UNNO

医学科大学院第6回生





本学外科第二講座 講師


Q1. 受賞の喜び

このたび浜松医科大学同窓会学術奨励賞をいただき,たいへん光栄に思いますとともに今後の研究活動に対する大きな励ましと感じております。また本研究を行うに当たり,ご指導いただいた第二外科教室の諸兄,共同研究としてご協力いただいた静岡県立大学薬学部臨床薬品学教室の諸先生方にも感謝申し上げる次第です。

Q2. いつ頃から、どのようなきっかけで今回のテーマに取り組まれたのでしょうか

PAF-acetylhydrolase (PAF-AH) という PAF(血小板活性化因子)を不活性化する酵素が欠損あるいは低下している人が日本人には20〜25%存在し,その原因が SNP(single nucleotide polymorphysm)に起因することが1990年代に報告されました。私が本研究を開発した1998年当時,第二外科教室ではすでに中村利夫先生と坂口孝宣先生がこの SNP について研究スタートさせていて,両先生から方法論について,指導していただけたのが大きな手助けとなりました。当時,この SNP が狭心症や脳卒中などの動脈硬化性疾患との関連について報告がされ始め,私の専門とする血管外科領域の疾患のうち,腹部大動脈瘤とPAF-AH SNPとの関連について調べてみようと思い,研究を開始しました。

Q3. 今回の研究でご苦労された点は

研究はいつもそうなのですが,論文の形で journal に accept されますとそれまでの苦労は吹き飛んでしまい,達成感のみが残ります。したがって特に苦労したという思いはないのですが,あえて申し上げますと,本研究の対象が患者さんの遺伝子解析という昨今,プライバシーや患者情報の秘密保持という観点から,社会的にも関心が高まってきていることから,倫理委員会に研究の是非を申請したりして少し神経を使いました。

Q4. 近 況

現在,浜松医科大学第二外科で血管外科を中心に臨床診療に従事しております。臨床医の常として,如何にして研究に割く時間を捻出するかに頭を悩ませながら,日進月歩の医学の進歩に取り残されぬよう頑張っております。

Q5. 今後の課題

PAF-AH の SNP が患者の予後にどう関与するか追跡調査を行っていく予定です。また大動脈瘤だけでなく,閉塞性動脈硬化症 (ASO) やバージャー病などとの関連についても引き続き検討する予定です。さらに将来は PAF-AH だけではなく他の SNP もルーチンに調べることにより,生活習慣病としての動脈硬化症に対して,患者さん個々に応じた生活指導などができるのではないかと期待しています。

Q5. その他

近年,国立大学の独立行政法人化や文部科学省によるトップ30大学重点構想など,大学を取り巻く環境は急激に変化しつつあると思います。その中で,大学にとって大事なことは,新しい時代に則した医学教育と地道な研究,そして最先端医療の実践であると思います。周囲の喧噪に惑わされることなく,一歩一歩,一日一日を大事にしていきたいと思います。