
![]() 増 井 孝 之 氏Takayuki MASUI 医学科第9期生聖隷浜松病院 放射線科
過去の学術奨励賞の受賞論文は,レベルの高い基礎的な研究が多く専門の研究機関でないと研究の実施は困難であると感じていました。幸い放射線科領域は一般臨床病院でも比較的臨床研究がしやすい分野です。今回の選考に際して,”臨床医にとっての研究”という点も考慮していただけたと思いますが,今後の日常の臨床の研鑽の励みになります。ありがとうございました。
今回用いた多時相多断面撮像は5年程前に勤務していた別の臨床病院で,異なる撮像 sequence ( gradient echo 法 ) を用いて行っていました。この時は十分結論を得るに至りませんでしたが,今回はこの発想を元に超高速T2 強調画像を用いて行った研究です。実はこの撮像プロトコルは腸管の蠕動運動を評価するために設定したものでしたが,子宮のこくこくと変わっていく様子も観察できることがわかりまとめたものです。
ランダムな”動き”の評価はMRIでは一般的ではありません。特に子宮などはMR検査ではほぼ静止している臓器として認識していましたので,このように,リアルタイムに動き,T2 強調画像の信号変化も起こっているのだという情報を伝えるのに苦労しました。画像の主観的評価に加え,静止画像上で厚さ,信号強度の測定を繰り返すことで数値化し,統計処理をして,客観性を持たせました。
現在も日常業務が非常に忙しく研究のみをやっていることはできませんが,幸い放射線科では臨床研究の結果を,すぐに有用な画像情報の取得に応用できます。日常臨床で感じる疑問や新たな発見に注意を払い,その意識を高めながら業務に携わっているつもりです。ただ,日常業務での人手不足は深刻なので実際は・・・。
この撮像方法自体はMR技術の進歩で過去のものになると思いますが,子宮の収縮の意味づけなど,解明されていないところもあり,機会があれば基礎的な研究とあわせて発展させていきたいと思います。 |