第8回 浜松医科大学 同窓会 学術奨励賞 受賞者に伺いました


橋爪秀夫氏

橋 爪 秀 夫 氏

Hashidume Hideo

(医学科第7期生)


本学皮膚科 助教授



Q1. 受賞の喜び

今まで受賞された方々の立派なお仕事は存じ上げていましたので、自分の仕事についてご評価をいただいたことは、心から嬉しいです。

Q2. いつ頃から、どのようなきっかけで今回のテーマに取り組まれたのでしょうか

私の研究テーマは、薬剤アレルギーの機序に関することです。5年前に私が沼津市立病院に勤務していた時に、重症薬疹の青年の患者をうけもったことが大きなきっかけになっています。Toxic epidermal necrolysis という最も重症な薬剤アレルギーで若くして失明という後遺症を残してしまいました。薬剤というのは、本来は病気を治すためのものなのに、時に命をも脅かすということを目の当たりにし、愕然としました。まだまだ、薬剤アレルギーの機序は不明な点が多いのですが、臨床を知っている皮膚科医だからこそ、取り組むべきテーマだと思っています。

Q3. 今回の研究でご苦労された点は

主に研究の大半の時間は、薬剤反応性T細胞クローンを樹立させることに費やしました。当教室で本格的にこのようなことに取り組んでいた者がいなかったので、論文や実験の方法書などを参考に、工夫しながら実験方法を改良していきました。薬剤によく反応し、しかもクローンとなっている細胞を初めて樹立できた時は、ある種の感慨がありました。患者さんから供与される血液を用いるので、できるだけ少量ですべてのことができるように考えました。臨床をやりながらの研究なので、実験に費やす時間はどうしても夜になってしまうことが、悲しかったです。

Q4. 近 況

薬剤アレルギーの臨床型を規定するものは何かという点に注目しています。特に drug-induced hypersensitivity syndorome という重症薬疹がヘルペスウィルス群の再活性化をおこしているということが明らかになっており、このような患者さんの皮膚の形成において、薬剤反応性T細胞以外にウィルス障害性T細胞による組織障害が重要な役割を演じている可能性があることを見つけました。また、臨床型を規定するという点において、近年はやりのケモカインとケモカインレセプターとの発現に関しても、注目しています。薬剤アレルギー以外に、アトピー性皮膚炎とストレスに関する研究も行っています。研究にはまとまった時間が必要なのですが、助教授という大役を仰せつかりましたので、スーパーローテートやチュートリアル教育、病院の独立行政法人化にまつわる事務仕事などに追われて、時間を捻り出すのに苦労しています。

Q5. 今後の課題

自分自身の能力の限界をぼちぼち感じ始めていますので、これからを担う優秀な若き皮膚科医を育てることに全力を尽くしたいと思います。

Q5. 先輩として後輩へ一言

学生時代、お手本となるような人物ではなかったので、全く偉そうなことは言えません。もう少し勉強しとけばよかったとか、もっと暇な時間を有意義に使っとけば良かったとか、後悔することばかりです。ただ、無意味な時間を共に過ごした友人たちが驚く程立派になっていることを聞いて、友人には恵まれていたんだと感じています。大学時代の友人は、共通の目標をもった同志でもあります。久しぶりにあってもすぐに深い議論ができるのは、うれしいことです。友人関係を大切にしてください。