膵外分泌細胞は形態的にも機能的にも分極している。形態的には、腺腔側は分泌顆粒で、基底側は粗面小胞体や核で占められている。機能的には、この細胞をアセチルコリンで刺激してやるとカルシウムシグナルは腺腔側より始まり、基底側へと進展するカルシウム波が観察される。一方、最大刺激のアセチルコリンにより細胞内カルシウムストアを枯渇させると、基底側において容量性カルシウム流入が惹起され細胞内カルシウムストアは再充填されると考えられている。
それでは、一旦枯渇した腺腔側のカルシウムストアは、どのようにして再充填されるのであろうか。細胞外液のカルシウムを除いた状態で、細胞内カルシウムを枯渇させた後、基底側のパッチピペットより局所的にカルシウムを投与する。この間に細胞内カルシウムの増加は認められなかった。しかし、その後再びアセチルコリンで最大刺激すると、カルシウムシグナルはピッペトと対極に位置する腺腔側より生じだ。ここで、小胞体のカルシウムポンプの特異的阻害剤であるタプシガルギンをアセチルコリンと同時に投与し、上記実験過程を繰り返した。前結果と全く異なり、局所カルシウムの投与期間中に細胞質カルシウム上昇が認められ、更にアセチルコリンの再投与に対しては、細胞質内カルシウムの上昇は認められなかった。
これらの結果より、局所的に基底側より投与されたカルシウムは、細胞質内に拡散することなくその場所でカルシウムポンプより小胞体内に再吸収され、小胞体を通じて基底側より腺腔側に移動し、腺腔側カルシウムストアが再充填されると考えられた。そして、小胞体は構造的に一体の細胞内小器官であるだけでなく、機能的にも一体のカルシウムストアであるという新たな考えを提唱した。
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