第10回 浜松医科大学 同窓会学術奨励賞受賞論文要旨


血圧変化に反応する筋交感神経活動は、腎臓・心臓交感神経活動と相似である

Muscle Sympathetic Nerve Activity ( SNA ) Averaged Over 1 Minute Parallels Renal and Cardiac SNAs in Response to Forced Baroreceptor Pressure Change. Circulation, in press.

神谷厚範氏  (医学科第15期生)    国立循環器病センター研究所 循環動態機能部 室員

[背景]交感神経活動は循環調節に極めて重要な役割を果たしている。例えば、交感神経緊張は心拍数、心臓ポンプ機能や末梢血管抵抗を増加させる。また、交感神経緊張は慢性心不全を憎悪させ、一方、致死性不整脈の誘因となる。従って交感神経活動は、循環器医学生理学において、盛んに研究されてきた。

ヒトにおいては、マイクロニューログラフィー法(微小針電極法)によって、末梢神経から直接に交感神経活動を測定できる。この方法を用いて、四肢骨格筋内の血管を支配する血管収縮性交感神経活動(筋交感神経活動と呼ばれる)が測定され、各種生理的環境下(運動・加齢・圧反射・食事・温熱環境など)や、循環器疾患(高血圧・心不全・心筋梗塞・失神など)における交感神経活動が、多く解明されてきた。

しかしながら筋交感神経活動は、循環調節の他、重要臓器、特に心臓や腎臓を支配する交感神経活動と相似なのかどうか確かめられていない。これは、ヒトのマイクロニューログラフィー法は四肢末梢神経など、体表浅部の神経にしか適用できないためである。従って、現在までに蓄積された筋交感神経活動に関する多くの知見は、筋交感神経活動に限定されるものか、交感神経活動一般の理解に資するものか、明かではない。

[方法] そこで本研究は、ウサギにマイクロニューログラフィー法を初めて適用し、下腿脛骨神経から筋交感神経活動を測定した。同時に従来法で心臓交感神経活動および腎臓交感神経活動を測定して、3種の交感神経活動間の関係を調べた。

[結果] 昇圧剤や降圧剤投与による血圧変動や、頚動脈洞圧の人為的変化に対して、筋交感神経活動は鋭敏に応答したが、これは心臓および腎臓交感神経活動と、ほぼ同じであった(相関係数=0.96〜0.97、交感神経活動は1分毎の平均値で評価)。

[結論] 血圧変化に反応する筋交感神経活動は、腎臓・心臓交感神経活動と相似である。


(Circulation, accepted at 27/Dec/2004, now in press)