
「アデノシン三リンの結合および加水分解によるCFTR(嚢胞性繊維症関連電位制御因子)CIチャンネルの開閉制御機構伊熊睦博 |
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CFTRは、ABC 輸送体の一員であり、嚢胞性繊維症の原因遺伝子である。そのCIチャンネル機能は二つの核酸結合部位(NBD)とATPの相互作用により制御される。従前、アミノ基側NBDでのATP加水分解がチャンネルを開き、カルボキシル基側NBDでの加水分解がチャンネルを閉じる、と考えられてきた。本研究ではこれと異なり、チャンネル開閉機構はATPの結合に強く依存すること、また二つのNBDによる相補的役割の可能性を報告する。 培養細胞に発現させたCFTRチャンネル電流は、パッチクランプ法により測定した。野生株のチャンネル開閉は、ATP加水分解を見ないMg非存在下でも観察された。二価イオン代用としてATP加水分解能の低いと考えられるCaを用いると、チャンネル電流の著名な増強を見た。これはチャンネル開時間の延長によるもので、チャンネル閉時間は、Mgの場合と変わらなかったことから、チャンネル開時間のみが加水分解に依存することが示唆された。 併せて、ATPの結合がチャンネルを開き、その解離または加水分解がチャンネルを閉じると結論した。カルボシキル基側NBDにおいて加水分解に重要なモチーフ(Walker A)に変異を起こすと、Mg存在下でもチャンネル開時間の延長を見、これは上記の結論に合致した。開時間の延長はmM単位のATPを必要とし、μM単位濃度では開時間は野生株同様の短いものだった。一方、アミノ基側NBDの Walker A の変異では、開時間の延長はmM単位のATPでは見られず、ATPがμM単位になると延長が観察された。 以上の結果は、−側のNBDにおけるATPの結合とその解離または加水分解がチャンネル開閉に充分であることを示し、更に細胞内ATP濃度が二つのNBDの働きを規定する可能性を示唆した。本報告は疾患の解明に寄与するのみならず、他のABC輸送体の制御機構の理解に役立つものと考える。
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