第8回 浜松医科大学 同窓会学術奨励賞受賞論文要旨


フェノバルビタール薬疹における薬剤特異的T細胞の特性の解析

Characterization of Drug-Specific T cells in Phenobarbital-Induced Eruption

橋爪秀夫 (医学科第7期生)本学皮膚科科 助教授

薬剤アレルギーを含む薬剤の副作用は現代医療の問題点とされつつも、その発症機序はいまだ不明であり、これに関する研究もあまりにも少ない。薬剤アレルギーの機序を解明するひとつの手段としてモデル動物を用いた研究があるが、本来薬剤はヒトに用いられるため、その結果の解釈には限界がある。我々は、多数の薬剤アレルギー患者から採取したリンパ球を用いて、薬剤反応性クローンを樹立し、免疫学手法を用いてその機序を明らかにすることを目的とした。

抗痙攣剤であるフェノバルビタールは、他方高頻度に薬剤アレルギーをおこす。我々は、フェノバルビタール過敏症の複数患者の末梢単核球を採取し、薬剤反応性T細胞クローン(TCC)を樹立した。TCCは患者間でそのVβの使用は様々であったが、HLAの異なる患者であっても、Vβ13.1 および Vβ5.1 を発現するTCCの樹立頻度が高かった。Vβ5.1+CD8+細胞は表皮壊死と関連していた。Vβ13.1+CD4+TCCは、薬剤刺激反応において抗原提示細胞のプロセシングを必要としなかった。殆どのTCCは Th2 サイトカインを産生していたが、少数の Th1 サイトカイン産生TCCも存在した。

これらの結果より、ある共通した反応経路は存在するが、患者各々に薬剤反応性T細胞のフェノタイプ、Vβレパートリー、抗原認識機構、サイトカイン産生は異なっており、個々の反応T細胞が皮疹の臨床型を形作っているという、新たな事実を発見した。