
EphB2チロシンキナーゼ受容体は,リガンドとの相互作用により 田中 正光氏(医学科第8期生) |
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ヒト胃癌において高発現のみられるチロシキナーゼ受容体として,我々は以前Ephファミリーに属するヒトEphB2を単離した。同ファミリーは,近年それらの分子に対するリガンドが相次いで単離された新しいファミリーで,EphB2には,Ephrin B-1,2が結合すると報告され,神経発生の分野では神経軸索の誘導に関与している。例えば,EphB2のマウス遺伝子であるNukのノックアウトマウスでは,特に前交連を形成する軸索形成の発生異常が知られている。一方Ephファミリー受容体とそのリガンド分子の相互作用の特色は,これら既存のリガンドと受容体の関係とは異なり,互いに相手の分子のチロシンを直接,間接にりん酸化し各々の発現している細胞に双方向に信号伝達をおこしうる点である。しかし,特に受容体により活性化されたEphrin-B (リガンド)の下流の解析は,いまだそれに依存する生物現象が明らかでないので,全くなされていない。 我々はXenopus laevisを用いてEphB2が,より初期の形態形成(体軸形成)に関与していないかを検索した。EphB2mRNAを8細胞期で腹側割球に注入すると,胚に2次背側軸が形成され,同2次軸は組織学的に神経管,脊索と筋肉を含んでいた。またマーカー遺伝子の発現検索からも,EphB2により腹側中胚葉の背側化が確認された。このEphB2による背側化誘導能は,リガンドであるphrin-B1 mRNA との共注入により顕著に活性化され,逆に細胞内領域を欠失させたEphrin-B1と共注入する事により抑制された。 これらの結果からEphB2はEphrin-B1を含むリガンドとの相互作用により,胚の背側形成に関与していると考えられた。背側化現象は,嚢胚での中胚葉細胞群の移動能の亢進を伴うことも考えられ,細胞の移動に対する影響が示唆されることから癌の浸潤など,臨床的視点からも興味がもたれ,同信号伝達の下流の解析が必要である。 |