第4回 浜松医科大学 同窓会学術奨励賞受賞論文



不整脈源性右室形成における超高速CTの有用性
ー特にCT所見と電気生理学的異常所見,および左室進展との関係についてー


夛田 浩氏(医学科第6期生)


目 的

近年開発された超高速CT (EB-CT) は心臓の形態,機能診断のみならず,心筋の組織性状をも検出できる。不整脈源性右室異形成(ARVD)は右室の拡大,および壁運動異常と心室頻拍を主徴とする疾患で,病変の進展によりときに左室にも異常を認めることが知られている。本研究では,ARVDにおけるEB-CTの有用性について検討した。

方 法

ARVD患者(ARVD群),正常者(Control群),ARVDによらない右室の拡大,機能異常を有する患者(RV拡大群)の3群でEB-CT検査を施行。また,ARVD群では両心室を各々12箇所に分割し,EB-CTで異常所見を認めた心内の領域 (CT-A) と電気生理学的検査での心内膜側mappingにて異常電位 (fractionated electrograms : FEs) を認めた領域 (EPS-A) との関連も検討した。

結 果

ARVD群では,1)著名な心外膜側の脂肪織の増加,2)脂肪化した豊富な腱索,3)収縮期の右室自由壁波状像,4)心筋内脂肪沈着を認め,その頻度は順に86%,71%,79%,50%であった。これらの所見はControl群,RV拡大群では1例も認めなかった。また,ARVD群の3例に左室心筋内脂肪沈着を認め,うち1例では著名な左室壁運動異常を認めた。 ARVD群,右室拡大群では正常群に比し有意に右室は拡大し,右室駆室率は低下していた。CT-AとEPS-Aとの関連に関しては,CT-A>EPS-Aが71%,CT-A=EPS-Aが14%,そして残り14%はEPS-Aのみ検出された。また,瀕拍の起源はすべてCT-A内に認められた。

結 論

EB-CTはARVDの診断に極めて有用である。また,軽度の左室進展例の検出,および両心機能診断に優れ,経過観察にも有用である。さらに,EB-CTから瀕拍回路の基盤となるFEsの領域,および瀕拍起源の推定も可能である。