第24回 浜松医科大学 同窓会 松門会 学術奨励賞 受賞論文要旨
気道上皮において IL-17A はサイトカインシグナル抑制因子発現の誘導を介して IFN-λ 発現を減弱する

IL-17A attenuates IFN-λ expression by inducing suppressor of cytokine signaling expression in airway epithelium.
The Journal of Immunology 201: 2392-2402, 2018

丹 羽   充 (大学院医学系研究科第36期生)  浜松医療センター    呼吸器内科
要旨
【背景】
V型インターフェロン(IFN-λ)は上皮細胞で主に産生され、その受容体は上皮細胞に発現し、粘膜局所の自然免疫に関わる。慢性気道疾患 (気管支喘息・COPD)患者では、健常者と比して気道感染しやすく、気道 IFN-λ 発現が減弱している。IL-17A は好中球性炎症を惹起し、 重症喘息や COPD 急性憎悪などに関連している。一方、気道 IFN-λ 発現減弱における IFN-A の関与は解明されていない。 本研究では、気道上皮におけるウイルス感染による IFN-λ 発現誘導の細胞内機序を解明すると共に、 IL-17A による IFN-λ 発現の減弱作用を同定し、その分子機構を解明することを目的とした。
【方法】
正常ヒト気管上皮細胞( normal human bronchial epithelial cells: NHBE )初代培養系を用いて、 TLR3 リガンドである polyI: C ならびに A型インフルエンザウイルス(IAV)感染による IFN-λ 発現誘導と、IL-17A による IFN-λ 発現減弱作用を解析した。 各転写因子のリン酸化や細胞内機序を Western blotting 法、siRNA、経路特異的阻害薬を用いて解析した。 PolyI:C、IL-17A による suppressor of cytokine signaling ( SOCS )family 発現を検討し、IFN-λ 発現調節におけるそれらの関与を解析した。
【結果】
PolyI:C は NHBE における IFN-λ 発現を誘導し、IL-17A は polyI:C による IFN-λ 発現を有意に抑制した。 同様に、IVA 感染は IFN-λ 発現を誘導し、IL-17A は IAV 感染による IFN-λ 発現を抑制した。 IFNLR siRNA ならびに JAK 阻害剤は、polyI:C による IFN-λ 発現を24時間以降で有意に減弱した。 Western blot 法による解析では、polyI:C は添加後6時間よりSTATI のリン酸化を惹起したが、 IL-17A 添加は、polyI:C による STATI リン酸化を添加後24時間以降で有意に抑制した。 SOCS family 発現の解析では、IL-17A / polyI :C 共添加により SOCSI および SOCS3 の発現が増強した。 siRNA を用いた SOCSI および SOCS3 のノックダウンにより、IL-17A による IFN-λ 発現抑制作用は部分的に消失した。 IL-17 受容体中和抗体の添加は、IL-17A による IFN-λ 発現抑制作用を部分的に消失させ、 また polyI:C / IL-17A 添加による SOCSI、SOCS3 発現の増加作用を抑制した。
【結論】
IL-17A は、SOCS 発現の誘導を介して気道上皮における IFN-λ のオートクライン機序により活性化される JAK-STAT 経路を抑制して、 ウイルス感染による IFN-λ 発現を減弱させる。