第14回 浜松医科大学 同窓会学術奨励賞受賞論文要旨


CENP-Aをセントロメアに局在化するヒトhMis18α,hMis18β,M18BP1のプライミング機能

Priming of Centromere for CENP-A Recruitment by Human hMis18α,hMis18β and M18BP1.    Developmental Cell 12:17-30,2007.

藤田陽太氏  (医学科第15期生)    京都大学大学院   生命科学研究科    産学官連携研究員

染色体の脱落や過剰伝達は癌化や先天性疾患の原因とされており,細胞分裂において染色体均等分配を保証するセントロメア/キネトコアの機能を調べることは医学研究においても重要と考えられる。セントロメアはヒストンH3バリアントであるCENP-Aを含む特殊なクロマチン構造を有し,セントロメアを構成する多くの因子は酵母からヒトにまで進化的に保存されている。

我々は分裂酵母を用いて染色体均等分配に必要な新規セントロメアタンパク質 Mis14-Mis18 を同定した( Hayashi, Fujita et al., Cell 2004)。さらにBLAST search により分裂酵母 Mis18 と相同な蛋白質がヒトで2種類( hMis18α,hMis18β )存在することが分かった。また,マススペクトロメトリーにより hMis18 と物理的に相互作用する蛋白質 M18BP1 (Mis18 binding protein 1 )を同定し,hMis18α,hMis18β,M18BP1 の3者が複合体を形成することを見いだした。

HeLa 細胞で hMis18 複合体の細胞内局在を観察すると,hMis18 複合体はM期中期のセントロメアには局在しないがM期後期もしくは終期から G1期早期にかけてセントロメアに局在するという特徴的な挙動を示した。hMis18 複合体の機能を調べるために,hMis18α ノックダウンを行ったところ,siRNA後には新規に合成された CENP-A がセントロメアへ局在化せず,M期染色体がM期プレートに整列しない欠損を見いだした。驚いたことに,この hMis18αノックダウンによる新規合成 CENP-A の局在異常は Tricostatin A (ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤)によって抑制された。

以上の結果から Mis18 複合体は細胞周期依存的にセントロメアヒストンをアセチル化することで CENP-A のセントロメア局在化に機能していると考えられる。