第12回 浜松医科大学 同窓会学術奨励賞受賞論文要旨


一重項酸素のモニタリングは,実験的悪性神経膠腫に対する治療において,光線力学的効果の予測に有用である

Monitoring of singlet oxygen is useful for predicting the photodynamic effects in the treatment for experimental glioma
Clin Cancer Res 2006 12:7132ー7139.

山本淳考氏  (医学科第17期生)   産業医科大学  脳神経外科  講師

[目的] 光線力学療法(PDT)時に発生する一重項酸素(12)は,殺細胞効果において,重要な役割をすると考えられている。今回,新しい近赤外微弱光検出器を用いて,ラットグリオーマ細胞ならびにラット皮下腫瘍モデルを使用して,PDT中に発生する  をリアルタイムにモニタリングを行い,  の発生とPDT効果の関連について検討した。

[方法] 5-アミノレブリン酸(5-ALA) による PDT を,9L グリオーマ細胞 (in vitro) および 9L グリオーマ細胞を移植したラット皮下腫瘍モデル (in vitro) に対して行い,12 のモニタリングを施行。さらに,これらを基に,異なる光照射の条件下で,12 の発生パターンと誘導される細胞死への影響について検討した。

[結果] 我々の方法では,PDT中の12 の発生パターンをリアルタイムにモニタリングすることが可能であった。低いワット数での光照射では,12 発生量のピークは低いが,緩やかに減少し,一方,高いワット数では,12 発生量のピークは高いが,急激に減少していた。結果的に,12 の総量は,低いワット数の光照射では,12 がより多く発生する傾向があり,強い殺細胞効果が得られ,さらに低いワット数での光照射は,細胞死をアポトーシスに誘導する傾向があり,一方,高いワット数の場合は,ネクローシスに誘導する傾向が見られた。

[結論] 本研究では,12 をモニタリングすることにより, PDT による効果の予測や,患者それぞれに対して光照射の最適条件を選択できる可能性があることが示唆された。